瞑想から得たエッセンスは時に即効性がある

今週は久しぶりにこのサイト経由で予約してくれた方がいらっしゃった。

2ヶ月ぶりじゃのぉ

車で40分くらいで来れる千葉県在住の方。

近いと行きやすいよね!

「対人緊張をなんとかしたい」と思って瞑想を興味を持ち、独学するよりまずは人に話を聞いてみようということでご来店。

お茶を飲みながらお話を聞いてみると、もともと重度のアトピー性皮膚炎があり、子供のころから苦しんでいたとのこと。

僕の働いていた断食道場で30日コースに参加されたこともあるそうで、あらゆる手立てを試したがうまくいかず、40年も悩んでいたそうだ。

しかし数年前に出回るようになったアトピーの特効薬を試したら、ピタリと症状は止み、皮膚はどんどんキレイになって、痛みもかゆみもなくなったそうだ。

それはよかったのぉ

その薬は自分で注射するタイプの薬で高額なのだけれど、それまでに試してきた数々の方法にかかったお金と比較すると相対的に安く感じるそう。

一生打ち続けなければならないということは気になるものの、楽になったことはよかったとおっしゃっていた。

アトピーのためにずいぶんとお金を使ってきたんだね…

アトピーがひどかった頃は、皮膚がボロボロで自分がどう見られているのかをずっと気にしてきたという。

人と一緒にいてもビクビクしてしまう。

そんなことにビクビクしている自分が嫌になって落ち込み、ときには鬱状態になってしまう。

アトピーに悩む人のあるあるなのじゃろうのぉ

そんな悩みもアトピーが治り、皮膚がキレイになればきっとなくなると信じてがんばってきた。

そしてついに特効薬のおかげで楽になり、皮膚もキレイになった。

「でもなくなったのはアトピーの症状だけで、対人緊張だけが見事に残ったんです…」

この言葉がすごく心に残りました

それからの1年は心をなんとかしたくて心療内科へ行って薬を飲んでみたり、運動をすればいいのではないかと考えてジムやプールに通ってみたりしたそう。

お酒をやめれば変わるんじゃないかと考えて、お酒をやめられる薬を飲んで4ヶ月たったがあまり変わらず…

「最近いろんなところで瞑想って言葉を目にするし、やってみることにするか」

「でもどうしたらいいんだろう?」

「自分でやってみたけど全然集中できないし、お寺で修行とかイメージできないし…」

そうして呼吸の家にやってきた。

しかし瞑想は長年続いてきた対人緊張を一気に解決する手段にはならない。

続けていくうちにうまくなっていくようなタイプの技術だから、継続し、習慣にすることが必要だ。

少しずつ瞑想状態に入るのがうまくなり、対人緊張を悪化させない技術が身につき、悪化させないことが続いていくうちに「多少の緊張は悪いことではない」と考えられるようになる。

そうして少しずつ自分のクセを肯定することができるようになることで、気がつけば克服していた。

そんな感じで変わっていくものだと僕は考えている。

瞑想の感覚がどういうものか知りたいということだったので、いつもどおり金魚運動器に乗ってもらった。

最初の5分間は機械に揺られながら言葉による誘導をする。

楽な呼吸になったら10分ほど機械に揺られ続ける。

15分経つと機械はピタリと止まる。

そのとき体の中で起こっている状態は、瞑想を継続し、習慣化して、けっこううまくなった時の感覚に近いのだ。

「なるほど、こんな感じなんですか」

「確かに楽になりました」

ここだけ聞くと「じゃあその金魚運動器を買えばいいじゃないか」と思うかもしれない。

でも金魚運動器は毎日乗っていると瞑想効果は薄れてくる。

たまに疲れたときに乗るならいいのだけど、毎日使うインスタント瞑想マシンにはなりえない。

金魚運動器を体験してもらったあとは姿勢や呼吸が瞑想に与える作用について説明して、あぐらで座った状態で軽めの誘導瞑想を受けてもらった。

「たしかに楽になりますけど、家ではなかなかうまくできないでしょうね」

僕もそう思う。

家に帰ったあとも試行錯誤しながら続けていくことで恩恵が深まっていくのが瞑想なのだ。

もっと即効性のある方法をこの方は求めている。

そう思った。

対人恐怖は僕もかつて持っていたものだが、瞑想の最後に「あること」をするようになってから対人恐怖は激減した。

それはなんなの??

シンプルなことだ。

その日会う人の笑顔を想像して、挨拶をし、「いつもありがとうございます。今日もよろしくお願いします」と笑顔で伝える。

そんなことで対人恐怖って治っちゃうわけ?

対人恐怖は人を恐れることで生まれる。

もっと具体的にいうと、自分に対するネガティブな反応を恐れている。

人と会っていないときには緊張しないけど、会うことを想像するだけで緊張する。

確かにそうじゃのお

会うことを想像をするとき、相手の顔は笑顔じゃないしてはずだ。

不機嫌な顔、嫌そうな顔、怖い表情、冷たい表情などをイメージしている。

「この人の表情はいつもこんな感じの怖い顔」

と決めつけていないだろうか?

しかし想像の世界で笑顔を想像してみると感じ方が変わる。

最初は笑顔をイメージできないかもしれない。

ようやくイメージできてもなんかモヤモヤする。

モヤモヤしつつも「今日もよろしくお願いします」と笑顔の相手に挨拶すると不思議と現実が変わっていくのだ。

反対の立場に立ってみよう。

自分が笑わない人だと思われているとしたら?

いつものパターンを壊して笑顔になるのは難しいんじゃないだろうか?

でもいつもビクビクしている相手がいつもと違う様子だったら?

いつものポーズ、いつもの表情ではなく、少し明るい反応になってしまうのではないだろうか?

そんなことを繰り返していくうちに対人関係は良くなっていく。

笑顔を想像して挨拶しておくだけでいいのだ。

会った時にがんばって何かする必要はない。

ゲストの彼に僕が体験したエピソードをお伝えした。

笑顔の儀式を続けて1年経った時、絶望的だった夫婦関係が改善したエピソード。

近所付き合いがうまくいかず孤立していた人と仲良くなるまでのエピソードを。

「たしかにそうかもしれませんね。それなら今日からだってできますよね。やってみます!」

対人緊張の強いはずの彼はとてもリラックスした顔でそう言った。

その後は30分ほどかけて自分でできるリラクゼーション方法を2つ伝えた。

首の後ろや脇の下の肋骨に軽い圧をかけながら呼吸の力で緊張をとる方法だ。

  • 笑顔の儀式
  • 首のリラクゼーション
  • 肋骨のリラクゼーション

「このくらいならやることでいっぱいにならないから続けられると思います」

「これを続けてみて1ヶ月くらいたったらまた結果を伝えにきますね」

「そのときには別のこと教えてください」

帰り際に聞いてみた。

「今日は緊張しませんでしたか?」

「最初は緊張しましたけど、イカさんが優しかったんで緊張しませんでした」

嬉しかった。

そんな感じであっという間に3時間半が経っていた。

瞑想って続ける努力を必要とするし、効果を実感するまでに時間がかかる。

だから効果が出るまでは「これでいいのかな?」と思っちゃうし、効果を実感できるまでは続ける意欲を失いがちになる。

でも瞑想から得たエッセンスは時に即効性がある。

お伝えした笑顔の儀式はそういう類のものだ。

呼吸の家は瞑想を伝える場所というよりも、瞑想のエッセンスをお伝えする場所なんだと思った今週であった。

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