近所の方が2組もふらりと訪れた日

昨日の午前中、のんびりと本を読んでいたら、玄関先から声がした。

「こんにちはー!」

元気なおじいさんの声。

出てみると、この間バスケをしていたときに体育館でお話したおじいさんだった。

近所の人と立ち話をしたとき、呼吸の家を紹介するためにショップカードを渡すことがある。

めったに渡すことはないのだけど、もしかしたら役に立つかもなと思ったときは紹介する。

そうやって渡したショップカードを見て、本当に訪ねてきたのは今回が初めてだった。

意外と来ないもんなんだね!

よくぞ来てくれました!とお迎えしてちょっと話し始めたら、さらにもう一度玄関から声がした。

「こんにちはー!」

またまた元気な声。

出てみると、以前来てくれた近所のおばちゃんとその息子だった。

息子は東京で暮らしているが、たまに来てはお母さんと話しながら鋸山を登るらしいのぉ

帰りがけに息子さんが「イカさんいるかなぁ?」と言ったから寄ったって言ってたね!

おばちゃんとおじいちゃんは顔見知りだったので、4人でお茶を飲みながらお話した。

息子さんのアトピーがひどかったときの話、おじいさんが運動不足すぎて歩くこともままならなくなって生活を改めた話など。

顔見知りだったけど、ちゃんと話したことなかった者同士の交流の場となっている風景を見ながら「こういう場所にしたかったんだよなぁ」と感慨ひとしおだった。

30分ほどおしゃべりして、息子さんが東京に帰る時間になったので、2人は帰っていった。

息子さんは体を動かすのが好きなので、今度はバスケを一緒にやりたいと言っていた。

バスケ友達が増えそうでよかったのぉ

2人が帰ったあとおじいさんが見たいと言っていたこの映画を流してあげた。

東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々が作る木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。

カンヌ国際映画祭で役所広司さんが最優秀男優賞をもらった映画だね!

質素ながら幸福に満ちた単調な毎日を美しく描いた映画。

おじいさんは映画を見る。

僕は日当たりのいい窓辺で本を読む。

その静けさが映画の中の世界のようだった。

2時間経って映画を見終わったおじいさんは拍手をした。

「素晴らしい映画でした!」

「人生の素晴らしさがいっぱい詰まってますね!」

映画のあと、「足腰が弱っているのだけど、どんな運動をしたらいいか?」と聞かれたので、呼吸の家でできることと自宅でできることをお伝えした。

「とにかくお尻の筋肉がなくなってしまっているので、まずはお尻を回復させましょう」

帰り際、「今度はうちにも来てください」と言っておじいさんは自分の家の写真を見せてくれた。

車の入れない山の中にある荒廃した別荘地でスローライフを送っているようだ。

「来週あたり行きますね」

そう約束して別れた。

夕ご飯を食べてホッとしているとそのおじいさんからお礼の電話が来た。

「今日は本当に素晴らしい日をありがとうございました!」

「映画も運動も素晴らしくて感動しました!」

夜になり、しみじみと喜びが湧いてきたのかもしれないなと思った。

嬉しかった。

昨日はそんなにぎやかな日。

静かで幸せな日だった。

こんな日が少しずつ増えていくと思う。

時間が少しずつ新しい現実を作ってくれる。

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